矯正治療の開始時期

一般に歯科矯正治療は、歯並びの治療を示しますが、不正咬合原因には、歯の位置異常だけでなく、その歯の植わっている骨の位置や大きさ、形の異常もあります。 歯の位置のみの異常でしたら年齢に関係なく、生涯その位置を修正することが可能ですが、骨の形や大きさを治療する場合には、その治療時期に制約が加わってきます。

大きく分けて、

 【01】 乳歯列期:乳歯のみの時期
 【02】 混合歯列期:乳歯と永久歯が混在する時期
 【03】 永久歯列期:乳歯が全て永久歯に代わってしまった時期
 【04】 成長完了期:骨の成長が終わった時期

の4つに分けられます。※症例によって開始時期が異なってまいります。

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受け口は下の顎が大きい場合が多く、ご本人の理解と協力が得られる範囲で、かつ、出来るだけ早い時期に始め、骨の形や大きさを変えていくというとても難しい治療となります。 したがって、乳歯列期(年齢で言うと3歳から4歳)が治療を開始する適齢期となります。

逆に限界となるのは、上の顎は成長が10歳で終わるとされていますから、ある程度大きくなってしまった下の顎に上の顎の大きさや位置を追いつかせようとした場合、 治療可能な限界時期は6歳から7歳となり、この様な場合、理想的な治療とはならない場合が多いことをお伝えすることが多くなります。

また、これ以降の受け口の治療はさらに便宜的なものとなりやすく、成長完了期の場合は顎の骨を切って小さくするような形成手術的な外科矯正手術が適応となります。 とにかく、受け口は早期治療が一番大切な症例であると言えます。



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外見上出っ歯に見えるものには二通りあります。まずは「さんまさん」や「あつしさん」のような、上の顎が大きかったり前のほうにあったりする症例です。

この場合、顎の骨の大きさや形を修正する必要がありますが、前述の受け口ほどは早期でなくても良いようです。おそらく、下の顎より上の顎の骨が柔らかく治療効果が出やすいからかもしれません。

しかし、大きくなった上の顎に下の顎の成長を追いつかせようとした場合、上の顎の成長は10歳で止まりますし、下の顎の成長は女性で早熟の方は中学校1年生ぐらいで止まることもありますから、 出来れば6歳くらいから、その詳細を検査したほうが理想的な治療になりやすいと思います。

それ以降は、上の歯だけをまびいて後ろに下げるなど便宜的な治療になり、副作用などのリスクが次第に高まりますので、注意が必要です。

次に「山田花子さん」のように、上下の歯や顎が大きく上下の顎が両方とも前に出っ張っているような状態です。

この場合、歯の大きさと顎の大きさと顔面のバランスをとるため、犬歯の後ろの歯をまびいて歯を後ろに引っ込めます。この治療は永久歯が生え揃ってから治療することが殆どです。



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でこぼこの歯の場合、歯の大きさが大きい事が原因となることが殆どです。しかし、中には顎が小さいことが原因となっている事もありますので、早い時期にその原因を見極めておく必要があります。 これらの詳細については、矯正歯科の精密検査を行わなくては正確な判断はつきません。

検査の結果、もし歯の大きさに問題が無く、顎が小さいという判断ならば、6歳ごろから下の顎を成長させるような矯正治療が必要となります。

次に、顎の大きさなどに問題が無く、歯の大きさだけが問題な場合は、永久歯が生え揃ってからでも十分です。ただし例外もあり、 でこぼこ度合いが著しくて、乳歯から永久歯を連続して抜くことによって(連続抜去)、その後のマルチブラケット装置の治療がとても簡単に短く終われるケースもあります。 この場合も6歳ごろに精密検査を行ってその必要があるかどうかを検討することが理想的と言えます。

総合的には、乱杭歯の場合は骨格の問題が少ないことが多いので、永久歯が生え揃ってからで良いことが多いことを付け加えておきます。



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一般に前歯が上下的に隙間があってかみ合わない状態を開咬(かいこう)と言います。

この症例は、指しゃぶりや舌の使い方に問題があることが多いので、それらの癖をコントロールすることの難しさから難治性と考えられています。 従って、癖のコントロールを出来るだけ早期から行ったほうが良いとされています。

まずは、3歳まではお母さんの力で頑張っていただいて、それ以降は症状の度合いによって考えるのが良いと思います。

軽症の場合は経過観察だけでも問題が無いと思いますが、重症の場合は4歳くらいから治療の必要があることもあります。定期的な観察が重要です。

矯正の開始時期:全般

早期の治療は、「歯の根が溶けること」や「歯周病」などの矯正治療の一般的な副作用を軽減するという意味があります。

併せて、骨の活性が高い成長期に矯正治療を行うことは、歯が動きやすく、また順応性の高いこの時期に行うことによって、新しく獲得した形態に機能が順応しやすいため、 術後の後戻りや違和感が少ないというメリットがあります。

これまでの内容は、あくまでも一般的な考察ですし、これ以外の不正咬合もありますので、なにかおかしいと感じたことがありましたら、いつでも何度でもお尋ねくださるのが一番だと思います。

私たちも見逃すことがありますので、ご協力いただけると助かります。